グリホサート(ラウンドアップ)は、がんの原因になるのか?

いいえ、グリホサートは発がん性物質ではありません。

では、なぜ発がん性があるという記事を目にするのか?

2015年3月、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)は、グリホサートを含む複数の除草剤がヒトに与える発がん性のリスクを評価する目的で、会議を開催しました。グリホサートは、ラウンドアップ®ブランドの除草剤を含め広く使用されている多くの除草剤の有効成分です。IARCは、グリホサートは「ヒトに対しておそらく発がん性がある(probably carcinogenic to humans)」としてカテゴリー2Aに分類しました。このカテゴリーには、理髪師や揚げ物の料理人など一般的な職業や、赤肉、焼いたパン、フライドポテトなども含まれています。このIARCの結論は、米国EPAなどの世界の規制機関や科学機関による結論と矛盾するものです。EPAは発がん性の証拠はないとしています。さらに、IARCによる2Aという分類は、グリホサートとがん増加との関係を結びつけるものではありません。「おそらく(probable)」というのは、グリホサートががんの原因であるという意味ではありません。通常のラベルの表示どおりのグリホサートの使用で生じる暴露の100倍でも、ヒトの健康リスクにはなりません。

グリホサートを使い続けていいのか? それでも安全なのか?

はい。グリホサートを有効成分とする除草剤は、世界で最も徹底的に試験が行われている製品の一つです。安全に使用されてきた歴史は、除草剤製品についてのデータを積み重ねたヒトの健康、作物への残留および環境に関する世界規模のデータベースによっても裏付けられています。

グリホサートの安全性について、他の規制当局は何と言っているのか?

グリホサートに関する複数の規制当局の検証結果を、報告書全文のリンクを付けて以下に一覧しました。

  • 食品安全委員会農薬専門調査会(Food Safety Commission of Japan)
    「神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」(2016年3月24日)
  • 米国環境保護庁(EPA)
    「EPAはグリホサートがヒトに対するがんのリスクとならないと結論する。」2013年連邦官報公告(FR 25396. Vol. 78, No. 84, May 1, 2013)
  • スイス連邦農業局(Swiss Federal Office for Agriculture) 
    「国内および国際的に今日利用可能なデータと、適切な科学団体による多数の評価とに基づき、OFAG(連邦農業局)およびOSAV(連邦食品安全獣医局)は、グリホサートの残留は国民に害を及ぼさないと考える。」
  • ベルギー連邦公共サービス(健康・食品安全および環境)
    「この状況を踏まえ、連邦公共サービス(健康・食品安全および環境)は、現時点でグリホサートに対して制限措置を実施する十分な理由はなく、ましてこの物質を禁止する理由はないと考える。」
  • 南アフリカ農林水産省(Department of Agriculture, Forestry & Fisheries)
    「南アフリカにおいて使用の登録をしているグリホサートを有効成分とする製品は、厳格な化学リスク評価プロセスに合格している。最新のリスク評価に基づき、グリホサートは、ラベルに表示された指示と安全性の記述に従って使用される限り、使用者および一般市民に対するリスクは最小限である。」
  • ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(German Federal Institute for Risk Assessment)
    「ヒトの疫学的調査研究において、グリホサートが発がん性を示す証拠はなく、グリホサートが原因と考えうる受精・生殖に与える影響および発達神経毒性はない。」グリホサート再評価報告書(Glyphosate Renewal Assessment Report)ドイツ(ヨーロッパにおけるグリホサートの再評価の幹事国)(2015年)
  • オーストラリア農薬・動物用医薬品局(Pesticides and Veterinary Medicines Authority, APVMA)
    「APVMAは、現在、オーストラリアで登録されているグリホサート製品を、ラベルに表示されている通りに使用した場合、ヒトの健康、環境および市場取引に許容しがたいリスクを生じさせることを示唆するデータは存在しないと考える。(中略)入手可能なデータの証拠としての重みと強さに鑑み、グリホサートに遺伝毒性、発がん性、神経毒性はないと考える。」オーストラリア政府 農薬・動物用医薬品局(2013年)
  • アルゼンチン学際的科学評議会(Interdisciplinary Scientific Council)
    「検証した疫学的研究では、グリホサートへの暴露とがん発生の間には相関関係は示されず、生殖や、小児の注意欠陥・多動性障害に対する有害作用も示されなかった。遺伝物質への有害作用に基づく、ヒトの健康への有意なリスクは存在しないと推定される。この除草剤を責任をもって安全に使用する限り、食品および水の摂取はヒトの健康にリスクとならない。」グリホサートおよびヒトの健康と環境に及ぼす影響に関する科学的情報の評価(2009年)
  • カナダ病害虫管理規制局(Pest Management Regulatory Agency)
    「カナダ保健省はグリホサートの毒性データベースに関して完全と考えられる検証をした。グリホサートの急性毒性は非常に低い。」グリホサート除草剤の収穫前使用Doliner LH. (1991)(Pre-Harvest use of glyphosate herbicide [Preharvest application of glyphosate (Roundup) herbicide].)Discussion Document 091-01 98 pp. Pesticide Information Division, Plant Industry Directorate, Agriculture Canada.